最後のページは左手で隠しながら読む

知らんぷり

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小説じゃない本を読むとき(ノンフィクションとか)は「はじめに」のあと「あとがき」を読む。

 

それから目次を熟読して、おもしろそうなページに飛ぶ。

 

おもしろそうなところをあらかた読み終わって他にも楽しいことが書いてある気配を察知したら、本文を最初から読む。

 

最後まで本文を読んだらもう一回「はじめに」を読んで「あとがき」でシメ。

 

本を最初から最後まで、指定された順序で読むことはあまりない。

 

おもしろくなさそうな小説は最初をぱらぱらとやってから最終章を読む。

 

「おもしろくなさそうな小説だとわかっているものをどうして読むのか(読まなければいいのでは)?」と思われるかもしれなけれど、主観的におもしろくなくても世間的におもしろいとされている本を読まねばならない場面は往々にしてある。

あれ?ない?

 

なければあなたは大変幸せな読書人生を送っていることが見受けられる。この調子で幸せに生きてほしい。ジュテーム。

 

話を明るい話題に戻す。

 

おもしろいことが約束されている小説、換言すると、約束された勝利の小説は素直に最初から読む。

 

村上春樹とかアガサ・クリスティーとか太宰治とかエドガー・アラン・ポーとか西尾維新とか。

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あるとき、自分が最後のページにさしかかった瞬間に、左手でそれを隠していることに気が付いた。

 

最後の最後の瞬間は読もうとした瞬間に目にしたいのであって、どきどき読みながら不慮の事故視線移動により最後の一文を「アッ」と読んでしまわないようにするための行動である。

 

涙ぐましい努力であることよ。

でも、じつは人間って、ページを開いた瞬間にすべての文字を見ているらしい。

 

そりゃそうだ。目は前方に付いているので165度くらいの範囲を一望できる(視認と理解は別だとも言えるけれども)。

 

だから読書は「ほんとうは読んでいるけどぜんぜん読んでいないふりをして読み進める」という奇妙かつ高度な行いであると言えるそうな。

 

したがって、最後のページを隠すとしたら「開いて→隠す」のツー・ステップではなくて「隠しながら開く」のが正しい作法なのである。

 

なるほどね。

 

難点は電子書籍でできないこと。

 

紙の本は「あと何ページか」を手に触れて・視覚的に推測できるけれど、電子書籍は表示される残量表示をこまめにチェックしなければならない。

 

クライマックスに向けて読書の狂熱状態にあるときに画面をいちいちタップしてそんなことを確認するなんてできやしない。

 

上質な物語の終わりが楽しいのは、終わること自体が楽しいのではなくて、終わることに向かうプロセス自体が楽しいのである。そこに水を差すふるまいはできるだけ避けて生きるのが賢明である。

 

そしてそれはたぶんきっと、人生にも通じている。