『世界の中心で愛をさけぶ』の劇場版公開におけるコマーシャルでの「たすけてくださぁい!!!」と森山未來が長澤まさみを抱きかかえて叫ぶシーンがいつまでも耳について離れない。
思い起こせばあのシーンはボーイ・ミーツ・ガールストーリーの主人公である少年が少女の不治の病という理不尽な状況を経験することによって大人への階段を上る第一歩だったのだなぁと今となっては感じられるのだけれど、幼少の頃見たときはただただ役者の必死の形相と絶叫の迫力だけが目に焼き付くのみであった(子どもって、そんなものですよね)。
秋田県民は唐突に動物の名前を叫ぶことがあるよね?と言われた。
たとえば「あい、しかだねぇ!」と自分の頭をこつんとやる場合。
字面だけ見れば鹿を発見して感嘆の声を挙げているようにとらえられるけれども(確かにちょっと山あいに行けば鹿の一頭や二頭ほいほい出てくる)、実はおかしたミスを自省しているときの発言である。
「あっ、やっちゃったぜ!」という意味合いで「仕方ねぇな、俺ってやつは。ははは……」的なニュアンスであるので、他県民はくれぐれも鹿を探してきょろきょろしないように。
同様に秋田県民の操る「さい!」も「アジアやアフリカで見られる動物をまさか秋田にいながらにして目の当たりにできるとは!!」という感嘆の言葉ではない。
「しまった」という心の声を「さい」という言葉にこめて秋田県民は叫ぶ。
作ろうと思えば「シロサイとジャワサイの差異がなんもわがらいねがった。さい!」という文章を作ることもできる。
そういう「さい」の使い方をする秋田県民からすると、沖縄言葉の「はいさ~い」はなぜ「はい」と返事をした後に「さい」と悔やむのか理解が難しいところである。
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