ゲーミングお嬢様のレビュー……沁みる。

魔剤

私は初めから正論なんて求めていませんわ!!

正論が人をキレさせることはいくらでもありますけれど

人を救った例は有史以来一度も存在しませんわ!!

私が求めているのは銀座の一等地に建つ超高級スイーツ店のプディングのような甘ったるゥい仮初めの慰めの言葉なんですわ!!

 上記は格闘ゲーム(以下、格ゲー)で対戦相手に苛立ちを覚えたときの主人公のセリフです。語り口から読み取れるように主人公は女性であり、かつお嬢様です。

 なお、第1話冒頭からこのような叫びを行っており、その罵倒は全編を通して盛り下がるどころかヒートアップし続ける。

オッ…オギャーッッこいつIQが低いッ

もう少し侘び寂びを嗜んでから乙女の花園に来ましてよクソッ

クソわよッッ!!

間違えたお排泄物ですわよッッ!!

 お嬢様の「煽り」は例え・語彙・ボキャブラリー・オタクが喜ぶ誇張表現の全部盛り。「ニンニク入れますか?」「アオリマシマシオジョウ」のコールが脳内再生されるようです(されない)。そういえば主人公のお嬢様はお嬢様にも関わらずラーメン店で働いているのは偶然ではないのかもしれない(何の)。

“やりがい”なんて旧石器時代の言葉は使いたくないけれど

結局のところは”これ”さえあれば人間生きていけるのが憎くてたまりませんわ

 内容は格ゲーでお嬢様たちがしのぎを削っているだけなのですが、前述の通り、煽りあり、パロディあり、ゲーマーあるあるあり、の密度の濃いギャグマンガとなっております。名探偵コナンか!ってくらい文字が超小さいほどのセリフの密度(多さではなく密度です)なんですよね。

 あと、試合前に酸素をスプレーで吸ったりとか、嘲笑表現であるところの「草」を「おハーブ」と言い換えてたりとか、「対戦ありがとうございました」と心の中で思いながら声に出すのは煽りセリフという入替え表現だったりとか(そいうえば「私たち入れ替わってる~!?」のパロももちろんあった)、よく考えてご覧なさいこのストレス溢れる現代社会!!からの箇条書きの久米田康治構図とか、魔剤(あかいうし、レッドブルともいう)で一息つき「この味はいつ飲んでもお排泄物うめぇですわね」とか、、、

 私たちが読んでいるのは格ゲーマンガではない。格ゲーパロディマウント取り合いマンガである。と何度も「わからせられた」。

お前覚えてろよ?

これ終わったらグーグルマップの貴女の家を風俗店に書き換えますわよ?

 これなんてどんな発想したら出てくるセリフ回しなんでしょう。そもそもグーグルマップの情報を編集できるって常識なんですか?私にはわかりません。

私に勝ちたければ 更に性格が悪くなりなさい

……はい!!

(ワアアアアアア)

私……人間の屑になりますわ

 というか、世界観がそもそも煽りベースで構築されているので、こんな感じで観客の盛り上がるツボとか価値観がバグってるんですよね。「性格が悪くなりなさい」にどうして素直に首肯するのか。ま、そこがいいんですけどね。

 そして最終回(嘘)

隆子様がぁ!!捕まえてぇ!!

隆子様がぁ!!画面端ぃ!!

昇龍読んでぇ!!まだ入るぅ!!

隆子様がぁ!!…つッッ近づいてぇっ!

隆子様がぁ決めたァァーッッ!!!

 プロゲーマー・ウメハラの伝説の試合の決定的な実況を完全に再現した決勝戦の立ち回りで、主人公は優勝します。

 これ、ほんとうに最終回では?ってくらい作画も展開も盛り上がったんですが、その後もボードゲームで遊んだり温泉旅行に出かけたり、楽しい回は続いてます。

 ウメハラも伝説の試合で終わりじゃなくて、その後も一日一つずつ強くなり続けていますものね。

 ゲーミングお嬢様、これからもベガ立ちしながら楽しく読んでいきます。